目まいのする読書

すべて読みさし

体調を崩したので会社を休んで家でごろごろ。ベッド脇に「ちょこちょこ読み」用の本を何冊かおいてあるので、布団にもぐりこんだまま適当にページをめくり、疲れると少し眠り、また起きては続きを読んだり別の本に変えたりして一日が過ぎた。堀江敏幸『アイロンと朝の詩人 回送電車3』(中央公論新社)は読了。思うに堀江敏幸の文章は雑誌や文庫よりも単行本が似合う。去年の『東京人』で読んだバス紀行文を比べても、掲載時の印象が阿藤快レポートの旅番組を少し想起させるようなものなら、単行本のほうはNHKの「小さな旅」を髣髴とさせる静かな佇まい。これも堀江マジックなのか。

「きよのさん」という会社の先輩がいるので思わず購入した金森敦子『"きよのさん"と歩く江戸六百里』(バジリコ)は、同じく「ちょこちょこ読み」用。きよのの旅と歩調をあわせて眠る前に少しずつ読む。豪商のおかみさんらしく豪勢な旅がえんえん続いてくらくらしてくる。でも、ああ、こんな贅沢旅行じゃなくていいし、108日間もぶらぶらしたいとは言わないから旅に出たいなあ。どこか、遠くじゃなくって近場でもいい。堀江さんやコミさんのようなバスの旅でもいい。そして会社のことを忘れたい。