台湾のからすみ

春が来た〜と喜んでいると、今日のように寒い日もある。しかし早起きして映画。有楽町まで『クーリンチェ少年殺人事件』を観に行く。

1992年の公開時には見ていないので、これが初見。主人公の少年がかわいいというか、青いというか、ああ、14歳ってそういう身勝手な年頃だよなあ、といまさらのようにドギマギしてしまう感じ。きらきらした部分と闇の部分がまじりあって自分でもコントロールできない混沌とした世界がすごく身につまされる青春映画だった(それだけじゃないけど)。4時間という時間をスクリーンの前で過ごすと、外に出た後も自分がどこにいるか分からなくなる。幸いなことに、通勤経路でもあったので、そのまま地下鉄に乗り、ぼーっとしたままパンフレットを読みふけっているうちに(その間の乗り換えも無意識)、自宅の駅に着いたのだった。

夜、だんなさんが今月初旬に行った台湾旅行のお土産のからすみを炙ってお酒のおつまみにする。ねっとりとしておいしいからすみ。食べながら台北の街並みを思い浮かべ、お酒をすすってはチャン・チェンとリサ・ヤンの二人が草の上で仲良く寝ころんでいたシーンを反芻する。もう一口からすみを食べては、チャン・チェンがお父さんと自転車を並べて歩くシーンを思い出し、さらにお酒をすすっては、少年たちが会談に座って録音機をあれこれいじっているシーンを思う。