読書の愉しみ

講談社文芸文庫『個人全集月報集 武田百合子全作品 森茉莉全集』を読んだ。うーん、これを企画した人は誰ですか?素晴らしいじゃないですか。二人とも好きなのに全集を持っていない読者としては、待ってました、という一冊。寄せられたどの文章も興味深いけれど、個人的には森茉莉の息子さんである亨氏と、甥にあたる眞章氏の文章がとても良くて、これを読めただけでも嬉しかった。並行して、中野翠さんが編集した『ベスト・オブ・ドッキリチャンネル』(ちくま文庫)を読み直す。文庫になってすぐに読んだときはそれほど面白いと思わなくて飛ばし読みにしていたぐらいだったのに、今読むとすごく面白くて、ここのところ毎晩、眠る前の愉しみになっている。武田百合子の『富士日記』や『日日雑記』はわりと読み返していたのに森茉莉を読み返すことはなぜか少なかったが、今また読み直したい気分。そういう楽しい気分をもたらしてくれたという意味でも、今回の文芸文庫はよかった。