3月の出来事

慌ただしくしていたらあっという間に3月も終わりそうなのだった。地元映画館の最終日に何とか間に合って『Carol』を観たのは先々週。ケイト・ブランシェットの男前だけどツンデレという役柄にぐっとくる。ベルばらのオスカルのようだ。原作を読んでから映画を見たので、物語の展開を気にすることなく細部を楽しむことができた。原作のラストはキャロルが大きく手を振って応えるが、映画は美しい微笑で終わる。これは映画のほうがいいな。その前には『The Hateful Eight』を見て、これはミステリーとしてはどうなのかと思うが、吹雪の荒野に馬車を走らせる美しい映像とエンニオ・モリコーネの音楽、そして、いつもの血飛沫が堪能できて楽しい。

長嶋有『愛のようだ』(リトルモア)をようやく読む。私がいちばん友達とドライブしたのは20代の頃。その頃は免許を持っていなかったからもっぱら乗せてもらう側だったけど、目的も持たずに男友達と夜の甲州街道を走ったり、羽田まで飛行機をみに行ったり、社会人になってからは女友達とひたすらしゃべるために伊豆や箱根まで一泊して帰ったり、飽きもせず良く行ったな。小説に出てくる奥田民生の「さすらい」が入っているCD『股旅』は、旦那さんとドライブの定番で、今でも良く聴く。ドライブって、ドライバーは運転に集中しなければならないし、密室の中で濃い時間を共有するわりには、みんな前向きに座るので視線が合わないということもあるかもしれないけど、深刻な話でも深くなりすぎないというか、少し逸れがちになるというか、軽さがあると思う。でも、繊細さがないわけではない。うまく言えないけどそういう微妙な感情がこの小説にはたくさん詰まっている気がした。

紀伊國屋書店の『scripta』No.39、都築響一の連載「ROADSIDE DIARIES 移動締切日 5」はロシアの話題。来週、ロシア人のお客さんが来るんですけど、蝋人形とか人骨レコードっていう話はしないだろうな・・・。

そして先日金曜の夜に東京ステーションギャラリーで観たモランディ。これは良かったです。カタログも買って眺めてます。