Sniper View

sceneからsniper view

先週の夜はだんなさんと待ち合わせてクリント・イーストウッドの『アメリカン・スナイパー』を観に行く。ブラッドリー・クーパーに限らないのかもしれないけど、髭がつくと途端に別人なのね。マッチョだし。イーストウッド監督作品としては私の好みで言えば本人も出演していた『ミリオンダラー・ベイビー』とか『グラン・トリノ』だけれど、この映画の内容と映像もすごい。普通の日常が送られているすぐ隣にある戦争というか、戦闘と一般市民生活が地続きだ、というあたりまえのことに少しだけ衝撃を受ける。

好きな写真家のひとりが米田知子で、「SCENE」というシリーズの一枚に「Sniper View」という写真がある。ベイルートの街をスナイパーのポジションから撮影したもので、米田さんは戦争カメラマンではないから、おそらく安全な時期に撮影したのだと思うけれど、写真のなかではいたって普通の街並みがあるだけ。しかし、「Sniper View」というタイトルを見ると、戦争と日常生活の地続きを思わずにはいられない。

米田さんの写真では、そのほかでは特にハンガリーエストニアを撮影した「After the Thaw 雪解けのあとに」が好きなシリーズ。それが収められた最初の写真集『In-between』は持っていなかったので、未発表作も含めた『After the Thaw』が昨年刊行されていたと気づいたときには、すぐさまアマゾンでポチっとしてしまった。構図は直線的でかっちりしていて、背後にはナチス・ドイツソ連に関わる厳しい歴史があるけれど、空気がどこかやわらかく感じられるのが惹かれる理由かもしれない。