紙福へのパスポート

装丁はみすずのが好み

気が付いたら6月が終わっていて、それはつまりもはや1年の半分を過ごしてしまったのだった。今年の結婚記念日も、お互いの誕生日も迎えちゃったよ、早いなあ・・・。

日曜日はなんとなくぶらぶらしたくなり、家の掃除を終えてから本屋さんに行くと、蜂飼耳『空席日誌』(毎日新聞社)を見つける。嬉しい。買いたくなったのでもちろん買う。西村賢太の新刊もあったけど、ずっと文庫で読んできているので、文庫になるまでちょっと我慢する。しかし、賢太を我慢したら、そのあとなんとなく満たされない思いがむくむくと湧いてきて、そのまま近所の古本屋さんへ足が向いた。最近すっかりご無沙汰してたけれど、武田花『眠そうな町』を見つけて、ちょっと嬉しくなる。山田稔『幸福へのパスポート』(編集工房ノア)を見つけて、さらに嬉しくなる。両方とも買う。

山田稔のフランスものといえばもちろん『コーマルタン界隈』(みすず書房)だけど、その解説で堀江敏幸が、「おなじフランス生活に取材したものであっても、ある意味で『幸福へのパスポート』は一生に一度しか書けない書物だと言えるだろう」と評したこの処女作品集は、いつか読んでみたいなあと思っていた。積極的に探していたわけではなかったけれど、散歩のついでにひょいと見つかることになるとは、ブログは息も絶え絶えだし、以前ほど読書に時間を割けなくなっているけど、まだ本の神様には見放されていないと思っていいのかな。