今日は、毎日こんないい天気だといいなあと、うっとりするぐらい気持ちのいい天気だった。青空がきれいだったなあ。
この1カ月半、病院に通って検査をしていたのだ。ひょっとしてガン?と疑われたのだったのだが、さんざん検査をしたあげく「今のところはそうじゃない」ということになり、しばらく経過観察と相成りました。いろいろと疲れた1カ月半だった。

そんなに深刻にならずに済んだとはいえ、それでもなにかを書くとなるとどうしても悪いことを考えてしまうし、本を読んでても、いつのまにか視線がページを外れて最悪の事態を想像している自分がいる。病院に行き始めた当初は種村季弘の『雨の日はソファで散歩』(ちくま文庫)をカバンに入れていたけれども遺作だからなのか、どうにも読めなくなり、アッケラカンとした感じを求めて田辺聖子の『言い寄る』『私的生活』『苺をつぶしながら』の3部作を読みなおし(やっぱりこれは傑作だ!)、少し現実を忘れてみたのだった。手術になるのかなあとどきどきし始めたころは、文庫になったのをきっかけに堀江敏幸の『ゼラニウム』も読みなおす。表題作ほか大体は覚えているのに、「砂の森」だけをきれいさっぱりに忘れていることが面白かった。なぜなんだろう。絲山秋子の『ばかもの』は文庫になってから初めて読んだが、気が弱くなっていたせいなのか、泣けた。池澤夏樹の世界文学全集の『短篇コレクションI』は楽しめた。今は「特選復刊」という帯の文句がなくても買ったであろう小沼丹の『埴輪の馬』(講談社文芸文庫)をカバンに入れているが、これもいいです。ちびちびと楽しめています。今日はいちにち、洗濯の合間に、先ごろ買ったばかりのウェルズ・タワー『奪い尽され、焼き尽くされ』(新潮クレスト)を読んだり、よしながふみきのう何食べた?』をみて夕御飯の献立を考えたりした。This is my life.