ハッピーエンドの女王

コーヒー2杯

先日久しぶりに寄ったブックオフ橋本治の『花咲く乙女たちのキンピラゴボウ(後編)』を見つける。105円。高校生のころお小遣いをためて『大島弓子選集』(朝日ソノラマ)全10巻を買い、その勢いでこの本も読んだなあと懐かしさにぱらぱらめくっていたら、やっぱり大島弓子を再読したくなったのだった。コーヒー片手に日だまりでとりあえず、いちばん好きな「バナナブレッドのプディング」の巻を。あれからなんど読み返し、なんど慰められただろう。ときどき自分はここからまったく成長していないのでは、と思うことがあるくらい、読み返すたびにおなじような気持ちになるから不思議。20年たっても読み返しているってことは、このさき20年後も読み返しているんだろうなあ。

少し前の週刊文春の「文庫本を狙え!」を読んで気になっていた角川ソフィア文庫版の『仰臥漫録』を購入し、通勤途中で少しずつ読んでいたが、とうとう読み終える。ここのところなんとなく精神的に不安定な日々が続き、嵐山光三郎の解説にあった子規の弟子の寒川鼠骨じゃないけどそういう「寂しくてたまらぬときや、腹が立っていらいらしているときに」、これを読んでいたせいか、胸にぐうっと迫ってくるものがあった。本文を読み、カラー口絵で子規直筆の文字や絵をじっと眺めていると、泣けてくるような、こわいような、どうしていいのかわからないけど、それでも何度も読み返したくなるような気持ちになってくる。それもあって、NHKの『坂の上の雲』をちょっと楽しみにしているのだ。香川照之正岡子規によく似てると思う。