近所の本屋さんがまだ開いている時間に自宅の駅に着くのは久しぶり。というわけで、ちょっと寄る。文庫の新刊コーナーで萩尾望都という名前を見つけて、いよいよ河出文庫もちくまのように漫画をだすのかと思ったら、帯に「唯一のエッセイ集」とあった。フォアレディースの『ストロベリーフィールズ』は持っているんだけど、この『思い出を切りぬくとき』は読んだことがなかったので、あまりにもストレートすぎるタイトルに怯みつつも購入。ちょっと赤面しちゃうタイトルといえば、昔、高野文子の『ラッキー嬢ちゃんのあたらしい仕事』を書店で注文したとき、入荷を知らせる電話を受けたのがだんなさんだったので、そのあとずっと「書店の人に、注文のラッキー嬢ちゃんが入荷したので・・・といわれてすごく恥ずかしかった」と言われ続けたけど、個人的には『ラッキー嬢・・・』よりも『思い出を・・・』のほうがくすぐったくって、ずっと恥ずかしい。

ここのところの携帯本だったラルボーの『恋人たち、幸せな恋人たち』(ちくま文庫)に収録の「フェルミナ・マルケス」が思いのほか面白く、学園ものっていいなあと、突然に雰囲気も全然違うイーヴリン・ウォーの『大転落』が読み返したくなったりしたけれど、萩尾望都の学園ものといえば、もちろん『トーマの心臓』なのだった。でも、このエッセイを読む限り連載中は人気が出なかったみたい。面白いのに。7,8年前に友人にその存在を教えてもらって観た『1999年の夏休み』は、『トーマの心臓』を原作として少年役を少女が演ずるという宝塚みたいな映画だったけど、深津絵里深津絵里という芸名になる以前の名前で出てるという以外にも、つねにベールがかかったような幻想的な映像が意外とよくって、当時すでに30過ぎていたのに、好きな漫画が原作といえど、なんでこんな映画にのめりこめちゃうのかなあ、と、自分が恥ずかしくなってしまったのを思い出しました。三つ子の魂、百まで。恐るべし。先日も高校のときに読んだら必ず泣ける漫画を読み返したら、やっぱり泣いてしまったのだった。というわけで、恥ずかしいことをいくつか思い出してきたので、これ以上は書けなくなってきました・・・。眠ります。思い出を切りぬくとき (河出文庫)