morinoriの受難録

メールの口ぶりから急ぎの仕事と思われたので、なにはともあれ最優先でこなした仕事の成果を添付ファイルにして簡単に解説し、「不明な点などありましたらご連絡ください」と返信したのに何の返事もないので、それから一日経った今日、ころあいを見計らって電話してみたら、「ああ、あれ、まだ見てない。そんな暇はないの」と迷惑そうに言われてかなりむっとする。もう、なんだよー、わからないから教えろ、って言ってきたのはそっちじゃないのさー。

そんなこんなで、午後はささくれた気分だったが、帰り道にウッドハウス『ユークリッジの商売道』(文藝春秋)を読んでいたら、だんだんにやにやしてきた。重い本を持ち歩いた甲斐があったというものだ。序文によると、ユークリッジというキャラクターは、エムズワース卿やバーディやジーヴスやマリナー氏ほどメジャーになりきれなかったとあるけど、私はマリナー氏よりはユークリッジのほうが好きだなあ。直接の友達になるにはちょととキツそうだけど、友達の友達ぐらいにこんな人がいて欲しい・・・(あるいは隣の家に)。

家に帰ったら帰ったで、最近は武藤康史『文学鶴亀』(国書刊行会)を楽しく読んでいるのだった。1年前に発売された当時はなかなか手に取るチャンスがなくてそのうちすっかり買うことも忘れていたけれど、先日、書店をうろうろしているうちに本の背表紙が目に入り、ようやく「ビビビ」(←古い)ときたのである。書物に対する最大級の愛情というのか、「自分がこんなにも夢中になっているんです」という心のうちをこんなにも無防備にさらけ出していいのか、という気がしてくるくらいの熱いハートには、うっとりとしたものを感じずにはいられない。毎晩、眠るのが惜しいくらい。