フェルメールと堀江敏幸の小路

8月中に消化しなければならない休暇がもう1日あり、ぎりぎりになって取得。昨日あれだけの雷雨だったし、今日も天気予報だと雨だっていうから、きっと外出しようなんて奇特な考えを起す人は少ないはず、と甘い期待を抱いて、上野までフェルメール展を観にいく。果たして予測が当たっていたのか、それとも単に平日はいつもこんなものなのか、話題のわりには結構空いていて(ちょっと拍子抜け)、人の頭に邪魔されることなく存分にフェルメールを観る。うれしい。好きな『小路』『手紙を書く婦人と召使い』はいったん通り過ぎてももう一回、最後まで見て帰る前にもう一回、行きつ戻りつ何度も観る。小道を行ったりきたりするみたいに。

ランチビールを飲みながら余韻を楽しんだあとは、新刊書店。みすず書房から新潮社に版元が変わったリチャード・パワーズの新作『われらが歌う時』を見つけてどうしようかなあとぱらぱらめくっていたら、上下巻あわせて6,720円(!!)という値段に気づきあわてて手を離す。前作のように2段組にして1冊3500円に程度にしなかった新潮社が恨めしい。しかし、そうはいいつつ新潮クレスト・ブックス創刊10周年企画の堀江敏幸セレクションによる短編小説ベスト・コレクションは買ってしまうんだなあ。

名案内人・堀江敏幸がみちびく解説にしたがって、小説の小道をいったりきたり。