土日出勤ミセス

森茉莉さんのページ切り抜き

だんなさんの会社の数少ない従業員が休暇をとると、助っ人要員として私に出動命令が下される。今日と明日はそんな日。電話番の合間に本を読んでてもいいから、といわれて、人のいない事務所の留守番をしつつ読書。

金井美恵子さんの最新エッセイ集『昔のミセス』(幻戯書房)は、「ミセス」連載時に楽しく読んでいたのがまとまったもの。雑誌連載時に掲載されていた古い「ミセス」のページの写真もほぼそのままに収録されているのがとても嬉しい。この連載以外にも最近あちこちに書かれたエッセイもあって、高田馬場ビッグ・ボックスの古本市で本を買った金井さんが、重くなったので宅配便を頼むと、住所を見たお店の人が、金井さんのことを、金井さんと同じ姓が店名になっている古本屋の奥さんと勘違いするエピソードは、相当おかしい。あと、倉橋由美子に間違われるエピソードも。帯の文句は「ビターな甘さ全開の最新エッセイ集」カカオ70%じゃ苦すぎるけど、56%のビタースイートチョコレートがちょうどの甘さな感じ。

このエッセイ集で、猫のトラーが死んじゃったことを知った。ところで、金井さんの最近の本の装丁は、白地に臙脂色や濃いピンク色など深みのある赤系の色で背表紙のタイトルが書かれているけど、これは金井さんが還暦を迎えられたこと少なからぬ関係があるのかないのか。