禁酒宣言(ただし明日まで)

毎日、暑いよう。ビールが飲みたいのに、健康診断を控えていて日曜日から禁酒。隣でおいしそうに飲んでいるだんなさんを横目でちらちら見る。ううむ、早く検査を終了してビールを飲み干したい。

荒川洋治さんが「書き写していると楽しい。もっと引いてみたいと思う。すみからすみまで、読みたくなるのだ」といっている武田百合子富士日記』は、どこから読んでも、いつでも楽しい。ビールを飲んでいる風景でいうと、こんなところも印象的。ドライブイン手前で車を停止させているところに、小型トラックに追突された場面。

富士日記〈上〉 (中公文庫)黒めがねが戻ってきて「女一人に男二人じゃかなわないよ。向うは車にのりこんで平気の面して笑ってやがるぜ」といいつける。たしか、ぶつけてきた車には男一人が乗っていたように見かけたけれど、さっきからヘンなこと言うなあ、と思って、トラックの運転席をみると、主人が助手台に乗っている。「あのうちの一人は私の主人よ」と答えると「あれ、旦那なのかあ、奥さんの。向うの車に乗ってビールかなんか飲んでるよ」と呆れたように飯場へ帰っていった。
 トラックの運転台の下まで行くと、主人はかんビールを手に持ってすすり、おじさんにもすすめている。男は恐縮して断っている。当たり前のことだ。

追突されても怒るどころか、相手の車に乗り込んで、のんきにかんビールをすする武田泰淳。いいなあ。
書き写しているうちに、どんどんビールが飲みたくなってきた。これ以上飲みたくならないうちに、もう、今日は寝よう。