Yonda?

アッシジにも住みたい

すこし良くなったかなと思って油断したら、またたくまに風邪がぶり返した。とりあえずココアをつくってストーブたいて毛布に包まって準備万端。先日録画したBS朝日の2時間特番『イタリアへ・・・須賀敦子 静かなる魂の旅 第2章アッシジのほとりに』を観る。前回のトリエステ篇もとてもよかったけど、今回もよかったあ。なんといってもウンブリア州の風景がすばらしい。

フィレンツェやピサのあるトスカーナ地方のすぐとなりなのに、土地の表情にしても、文化の歴史にしても、何百年ものあいだ耕されつくしたトスカーナからは想像もつかないほど荒涼とした風景が、ウンブリア地方の山ひだには隠されている。中世そのままの姿、といっても塔や城壁やカテドラルの中世ではなくて、山羊や羊と暮らしていた遊牧民の中世が、ふいに目のまえに現れることがある。

(「霧のむこうに住みたい」、『霧のむこうに住みたい』所収 河出書房新社

ウンブリア地方の北辺の町、ノルチャに向かう途中で出会った風景を語ったこの文章を読んだとき、私はハイジのようなアルプスの風景を勝手に想像していた。でも映像を観たら、先日旅行した阿蘇に近い、雄大な景色。すばらしい。

ビデオを見たあと、『ミラノ霧の風景』を無性に無性に読み返したくなる。平行して『考える人』に連載されていた湯川豊須賀敦子を読む」を通しで読む。須賀さんの文章はクセになる。そして一度読んだあとも、何度も読んでも楽しい。