本文と解説のあいだ

田紳有楽・空気頭 (講談社文芸文庫)今週は夏バテがやってきたのと飲み会続きなのとで、電車に乗れば立ったままでうつらうつら。家に帰ればそのままベッドでぐうぐう。だんなさんに「お風呂いれたから入んなさい」と怒られてようやく起きだす始末。金曜日の今日はかなりすっきりしてきたけど、まだまだ眠い。お昼ごはんを食べたあと、会社のパソコンに、がくんと頭をぶつけそうになった。

先日、弟と上京した母とで食事していたときに本の話になって、弟が「解説はまったく読まない」というから母と私でびっくりした。というのも母も私も、装丁が気になったら帯のコピーを読み、そして本文を少し読み、解説かあとがきがついていればそれを半分ほど読んでから、というのが本を選ぶときの一連の動作で、本をひととおり読み終えたら、解説を今度は最後までちゃんと読み、そこでひっかかることがあったらもう一度本文に戻る、というのがなんとなくのルールとなっていたからなのだった。よくわからない箇所に出会うと、そのつど解説をあたったりもするので、「解説で気づかされることも多いと思うんだけど」と言ったら、弟にとってはそんなのは「別に」というレベルのものらしい。

通勤電車のうつらうつらの合間に、藤枝静男『田紳有楽・空気頭』(講談社文芸文庫)を読む。すごいヘンな話。その衝撃は川上弘美が『ゆっくりさよならをとなえる』で書いていたけど、そのとおり。おかげで解説(川西政明)と本文をいつも以上にいったりきたりする。だけど、やっぱりヘンなところはヘンなまま。弟の「へへん」という笑い声が聞こえてきそうだなあ。