北の果てへの旅

上野駅のルチアちゃん

休日。二つの美術展のチケットをもらったので、はしごをすることにした。まずはお台場の『グレゴリー・コルベール ashes and snow』。森美術館で開催された抜粋版も見に行ったけど、なんというか、きれいすぎて、脅威すぎて、現実感がない。地上の楽園のような映像を見てるときは「すごい」って思うんだけどなあ。いい天気なのでお台場のテラスでビール。その後、上野へ移動して『国立ロシア美術館展 ロシア絵画の神髄』。うーん、神髄は大げさなタイトル。展覧会マスコットの「ルチアちゃん」のほうによっぽど心魅かれる。メモ帳とシールを買っちゃった。

移動のお伴には関川夏央汽車旅放浪記』(新潮社)を選んだ。単に電車に乗る時間がたくさんありそうだなあ、と思って。この本の中で関川さんは、1か所だけ国外(?)の鉄道に乗ってる。村上春樹吉本由美都築響一の三人が『東京するめクラブ 地球のはぐれ方』(文芸春秋)で訪れたサハリンは、たしか茫洋とした場所のはずだったけど、関川さんが訪れるサハリンは宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』になっていた。ロマンチックすぎるような気もしないでもないけど、電車の中でゆらゆらゆれながら読んでいると、そのロマンチックさに、ぐっときてしまう。上野駅発の夜行列車に乗って、そのまま北の果ての地まで行くのもいいなあ。なぜかロシア人ぽくない名前のマトリョーシカ「ルチアちゃん」と一緒に。