偶然の読書

morinori2007-05-27

夕飯の食材を買いにスーパーに行って店内をうろうろしているところにだんなさんから「食事を済ませて帰る」メールが。うーん。日曜の夜にほそぼそと食べるのもツマラナイし、せっかく買出しにきたんだからと思ってお肉を奮発。ワインとチーズも用意してひとりで(ちょっとだけ)ゴージャスなディナーとする。BGMは映画『誰がために』のサウンドトラック。迫力あるピアノも得意な矢野顕子だけど、ここでは控えめにやわらかい音を聴かせてくれる。

ワインを飲みながら図書館から借りた田沼武能『文士の肖像』(新潮社とんぼの本)を見る。楽しい。大江健三郎とか石原慎太郎は初々しいし、倉橋由美子はまだ学生。原田康子にいたってはなんだか小学生のような風貌で登場しているし。立原正秋のすっきりした姿勢の良さとか、室生犀星の着物の着こなしには惚れ惚れし、どのページをめくっても楽しいなあ。

そもそも『文士の肖像』を図書館で借りたのは、和田芳恵『接木の台』(集英社文庫)を読んでいて、そういえば堀江敏幸『回送電車』のなかに和田芳恵のことを書いた文章があったなあと読み直したら急に「情痴小説」が気になりだして、図書館に北上次郎『情痴小説の研究』を借りに行ったら、たまたま隣の棚にあったこの本が目に入ってついでに借りてきただけだったのだ。偶然の楽しい出会い。うれしい一日。