映画は女である

並べてみるとソックリ

淀川長治蓮見重彦山田宏一の鼎談本『映画千夜一夜』で、蓮見さんが「山田さんは悪女が好きですから」と断言し、その山田さんがミレーユ・ダルクに会ったときの印象を「目がくらむばかりの美しさで、いい女でした(笑)」と言うと、淀川さんに「その「いい女」の言いかた、ちょっといやらしいね(笑)」とからかわれる場面がある。その悪女好きの山田宏一『映画的なあまりに映画的な 美女と犯罪』(ハヤカワ文庫)を、先日の「一箱古本市」で購入したので今週の通勤本にしているんだけど、さすが、女優への思い入れが半端じゃないので面白い。映画の本って、紹介されている映画をある程度知ってないとピンとこないと思うんだけど、私が実際に見た映画はせいぜい8本に1本程度かなあ。それでもぐいぐい引き込まれる面白さ。半年ぐらい前に読んだ『シネ・ブラボー』(ケイブンシャ文庫)よりも断然いいと思う。

山田宏一撮影のアンナ・カリーナの写真を自著に使用した金井美恵子が解説を書いている。この写真を見ると、個人的にはトリュフォーの映画『緑色の部屋』を思い出す。やっぱりろうそくの光に照らされたナタリー・バイがとてもきれいだったのだ。