新教養主義のススメ

対談タイトルも同じ「新教養主義のスス

岡崎武志『読書の腕前』(光文社新書)を読む。紹介されている本が次々と読みたくなる楽しい本だけど、それ以上に読んでよかったなあと思ったのは第六章の小・中学時代の読書体験のくだり。”空気のように本を吸う男”と似た体験が私にもあったというと、なんだかおこがましい気分になりますが、中学のときの国語の先生の一言でやっぱり嫌な思いをさせられたことがある。ある日の国語のテストの余白に「あなたは古文が好きか」というようなアンケートがついていて、そのときは古文に興味がでてきた頃で例にもれず田辺聖子『文車日記』も読んだばかりだったので、「古文は面白いと思うし、これからも読みたい」というようなことを書いたら、クラス全員の前で「ヨイショした人がいる」と名指しだった。以来、私もあの先生のことは忘れていない。『読書の腕前』で「いまさら」として紹介された本も読んでいない初心者マークの本読みだけど、似た体験があるとわかると「それでもいいよ」と許されたような気持ちになってしまう。勝手だけど。それにしても「いまさら」本、早く読まなきゃ。

そして「蔵出し」として挙げられている、ぼくらはカルチャー探偵団編『活字中毒養成ギプス』(角川文庫)の紹介文を読んで、これは『マリ・クレール』1987年9月号の特集をそのまま文庫にしたものだと知る。マリクレの特集は「いい女になるための読書大特集 文庫本の饗宴」というタイトル。ただし『活字中毒・・・』の書影とマリクレの目次を比べると、矢代梓の「思想書」ガイドだけがマリクレにはないので、多少違うかも。武藤康史の選んだノン・ジャンル50冊についても、岡崎さんが買い求めたという山中共古『砂払』(岩波文庫)と青山二郎『眼の引越し』(中公文庫)がマリクレにはない。武者小路実篤『友情』に対する「超絶技巧」の解説はそのまま。そして浅田彰高橋源一郎の対談も多分そのまま。「ぼくらはカルチャー探偵団」シリーズ、欲しくなりました。