かぽーん

録画しておいたNHKの『課外授業ようこそ先輩』を観る。今回は矢野顕子。矢野さんの好きな音は「電車が発車するときのモーター音」「風が木を揺らす音」「大きなお風呂のカポーンという音(風呂桶が床にぶつかる音)」なんだそうだ。矢野さんの生徒になったつもりで私も考える。思いついた好きな音。

「ストーブのうえでやかんがしゅうしゅういう音」実家の自分の部屋のストーブは、上にやかんが置けるタイプのものだった。ここでときどき干し芋をあぶって食べたりもした。受験勉強のときは毛布に包まってストーブの前でそのまま眠っちゃったことも。今はこのストーブはない。

矢野さんの「お風呂のカポーン」で思い出した。結婚式の前夜、したくも終ってあとは早寝するだけ、というときになって母が「一緒にお風呂に入ろう」と言い出した。実家を離れて弟と住んでいた部屋だったので、当然お風呂は狭い。近くに銭湯があったのを思い出し、母とふたりで出かけた。時間帯がちょうどだったのか銭湯は案外と混んでいて、だだっぴろい湯船のはじっこに常連さんの邪魔にならないようにそっと入った。ふたりでお湯につかったからといって特別な話をしたわけでもなかったけど、父を亡くして2年ぐらいしかたっていないこともあって、母なりになにか思うところがあったんじゃないかと思う。母には古風なところもあったし、片親で式を挙げることとか、離れて暮らしている間に伝えずにきてしまったことがあったんじゃないのか、とか、想像だけどそんなことを考えていたんじゃないのかなあ。矢野さんの「カポーン」がどんな記憶と結びついているのかは番組じゃわからなかったけど、私の「カポーン」はあのときの銭湯。

さて、銭湯のお風呂に比べたらずーっと小さいけど、うちのお風呂で本でも読もう。好きな音のみっつめはやっぱり「本のページをめくる音」。パソコンで小説を読むのは物足りない。

今日のお風呂本

ドリアン・グレイの肖像 (新潮文庫)

ドリアン・グレイの肖像 (新潮文庫)

タイトル的には『銭湯の女神』なんかがぴったりくるかもしれないけど、今朝からこれに夢中になっているもので。