パリところどころ

獅子座のページ

1月からCSチャンネルシネフィル・イマジカで始まったエリック・ロメール特集。録画しておいた先月分の『獅子座』『モンソーのパン屋の女の子』『シュザンヌの生き方』『モード家の一夜』を観る。長編第一作という『獅子座』が面白い。私にとってロメールといえば『緑の光線』と『海辺のポーリーヌ』であり、年頃の女の子たちが恋の相談をするような映画ばかりだと思っていたので、『獅子座』の主人公が情けない中年男というだけで、まず新鮮。恋の駆け引きも語られない。ボヘミアンを気取った主人公が真夏のパリの街をあてどなくさまよい、浮浪者にまで落ちていく様子が延々と映し出される。それだけの映画なんだけど、あまりのダメっぷりにだんだん目が離せなくなるのだ。

主人公のピエールがパリをぐるぐると歩き回るので、『獅子座』はちょっとした観光案内のよう。少し前に古本で買った鈴木布美子『映画で歩くパリ』(新潮社とんぼの本)には、この『獅子座』のほか、ゴダールの『勝手にしやがれ』やルイ・マル『地下鉄のザジ』をはじめ、主にヌーヴェル・ヴァーグ映画に出てくるあの場所、というのが写真つきで解説されている。ほかにも『愛の昼下がり』『満月の夜』『冬物語』『飛行士の妻』などこれからのロメール特集で放映されるだろう映画の場所が紹介されているので、この本、当分楽しめそう。

絲山秋子『袋小路の男』と『逃亡くそたわけ』を買った。明日は往復3時間電車に乗る予定なので、そのときに読みたい。